< 平成9年 秋・冬 > 平成21年10月19日掲載
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初秋の風街尽きしところより (伊勢市 宮川)
初秋や百鳥繁き明の空
吾の背に子子の背に帽子つくつくし
向ひ家の取り壊されて萩残る
踏切の音の狂ほし盆の月 (伊勢市 宮町踏切り)
一生の一刻使ひ葡萄食む
稲刈つて十戸の村の墓あらは (近鉄車窓 伊勢平野)
穭田のはかなし筋目正しても 〃
赤まんま幼馴染の家の跡
秋爽の一日は無為を極め込みぬ
赤い羽根角をまがりてすぐ外す (伊勢市駅前)
捨てかねて人形に挿す赤い羽根
秋燈や猫の居据る家長の座
一匹の秋の蚊またも見失ふ
長き夜や本伏せ置きて一仕事
燈を消して虫鳴かぬ夜と気付きたる
虫絶えて何をよるべに眠らむか
冷まじや夜半の枕辺音のなき
漢ひとり夜食に点す厨の灯
運動会見てゐて昔見てゐたる (伊勢市立早修小学校)
終に棲む常磐二丁目金木犀
紅葉してテレビに映る故郷美し
陽の甘し干柿によく染みこんで
酔漢の黄落を踏み泣いてをり
< 三重県 桑名市・三川公園吟行会 >
鳥居建ち伊勢路ここより川千鳥
山茶花や壕のみ残る城の跡
枯芦や三川寄りて音のなき
芦原の狭間は鴨の通り道
夕焼の色極まりて冬ざるる
夕焚火火を見ると人寡黙なる
落葉焚けぶりて暮をうながしぬ
セーターの真白きを着て師を迎ふ
燗酒や師の前に首竦めつつ
< 東海支部 闇汁句会 >
(愛知県岡崎市 都筑邸)
雨戸閉づ闇汁の闇つくるため
闇汁に男のひとり小さくをり
闇汁や酒酌む手許おぼつかな
闇汁の誰の箸かや触れあひぬ
闇汁の具の小さきを探り取る
闇汁の何とは知らず美味かりし
闇汁の果てて眩しき灯を点す
闇汁の果てたるあとの鍋の様
小春日や通勤電車海に沿ひ (神戸在住時代回想)
屑籠に反故と吸殻枯れし菊
冬服の内ポケットより去年の物
冬薔薇妻とは呼べぬひとと棲む
伊賀越えの車窓真暗に時雨けり (近鉄大阪線車窓)
故郷はタイムカプセル除夜篝 (伊勢神宮 外宮)









