<平成5年 新年・冬・春 >
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戻り住むふる里の佳し初詣 (伊勢神宮外宮)
明けきらぬ杜の暗さや去年今年 〃
初夢のわれ風狂の旅にゐる
読初や著者謹呈の小紙片
詠初のすぐ眠くなる昼の酒
四日まだ仕事机に埃置く
初商日暮るる先に仕舞ひけり
髪あげて成人の日の貌となる (長女)
初旅の海見るために窓拭ふ (三重県志摩)
寒燈の点して淋し消せばなほ
冴ゆる夜の枕時計の夜光文字
褞袍着て机上に心遊ばせる
紅梅や日蔭に残る昨夜の雪 (伊勢市月夜宮)
先を行くひとに影なき朧かな
どう見ても眼差しあはぬ雛かな
すぐ岸に寄りたる雛を押しやりぬ (伊勢市宮川)
恋猫の今日は戻らぬやもしれず
春月の外に出で通夜の酔ひ醒ます (伯父逝く)
春雨の傘寄り集ふ葬りかな (中村氏逝く)
池めぐる人ちらほらと初桜 (伊勢神宮外宮 勾玉池)
銀行の隣の寺の初桜
商談のあとはあれこれ花のこと
孤独てふ気楽さにゐる春燈
川上は花堤らし水の面 (三重県度会町)
山藤に雨降りだして暮急ぐ 〃
げんげんや吾子と数へる貨車速し (兵庫県高砂)
春めくや瀬戸の潮の目幾重にも ( 〃 淡路島)
わが家族長子離れて仔猫きて
温もりといふ重さあり掌に仔猫
猫の仔の頼るほかなき膝の上
窓あけて今日のはじまる百千鳥
造成地まず蒲公英の咲きにけり









