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< 平成 4年 夏 >

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  末つ子が髭剃つてゐる子供の日
  父逝きし日よ蒲公英の絮飛べば
  賑わしく父の忌過ぐる鉄線花
  波踏んで童の遊ぶ夏はじめ        (伊勢市二見ヶ浦)
  食卓の足直さねば枇杷転ぶ
  自転車の下りは楽し坂若葉        (伊勢高校)
  古市や杜鵑花あふるる四ツ目垣     (伊勢市古市)
  眠られず薔薇に見られてゐるやうで
  紫陽花の触れてつめたし藍の色     (伊勢市朝熊山頂 金剛證寺)  
  明易やわれ眠るころ母起きて


    奥へ奥へ鳥居つらなる五月闇       (伊勢神宮外宮神苑内・茜神社)
    父の日のひととき過ごす墓の前      (伊勢市一誉坊墓地)
    面映き腕の白さの更衣
    稿の手のとどまりがちに花火の夜
    吊橋を小さな祭の列通る
    川筋の大きく曲る茂りかな         (伊勢市 宮川)
    草いきれ激しくいよよ川細る           〃
    躊躇なく刈り捨てられし野萱草         〃
    ひらひらと手話の手動く青葉光         〃
    梔子の香や花の前過ぎてより       (伊勢市 亀谷記念館)


       野いばらや断崖の上の蜑の墓      (三重県鳥羽市 石鏡漁港) 
       夏つばめ山の上まで町のびて      (兵庫県 神戸)
       夕焼や厨の匂ふ裏通り
       子の背に跼まねばかたつむり見えず  
       自動ドア開くやどつと蝉時雨        (伊勢市立図書館)
       撃たれても笑ふほかなし水鉄砲
       夏シャツの少女駆けぬく交差点      (伊勢市駅前)
       夕焼けて牛舎の中の暗さかな       (三重県度会郡玉城)

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