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<平成5年 夏 >

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  五月躑躅花落としては咲き継ぎぬ
  大滝を仰ぎ序に空あふぐ         (三重県勝浦 那智の大滝)
  滝壺を離れて声を取り戻し              〃
  なにもかも濡れて社の滝祀る             〃
  穴あれば子はすぐ覗く木下闇      (伊勢市蓮随山)
  蚊帳つるもたたむも楽し兄妹       (子供時代回顧)
  蚊帳下ろし青海原の子供部屋          〃
  灯を消してちちはは蚊帳の中に消ゆ       〃
  薔薇挿して五十の恋をしてみむか
  網棚の夏帽とる子抱き上ぐ


    楸邨逝く荒梅雨に新聞濡れ       (7月3日)
    五月雨や城なき濠の深緑        (三重県伊賀上野)
    青梅雨や樹下にてたたむ旅の傘         〃
    下闇の向ふあかるし人の声            〃
    ふるさとの蛍ちいさし愛しけれ
    今日われにいろいろあつて夕焼けて
    花合歓や山路に忽と海景色       (県道12号伊勢南勢線 剣峠)
    わが影のわれに隠れる日の盛り
    流れては跳ねてとどまる水馬      (伊勢神宮外宮 勾玉池)
    水馬睦むと見しが水の影               〃
    気がつけば四方暮れてをり水馬           〃


      日盛の白は淋しや石畳        (伊勢市梅香寺)
      白靴や故郷の土やはらかし
      土を踏むをさなごこちや夕立あと
      くつきりと街に影ある梅雨晴間
      蜜豆を食ふて夫婦の若からず
      飼猫が昼寝のわれを踏みゆけり
      放水のサイレン遠し夜の金魚
      滴りや径細くなり幽くなり       (三重県志摩市磯部 天の岩戸)
      声つくし天の岩戸を蝉囃す              〃
      海に出て果つる伊勢路や雲の峰

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