★あざ蓉子氏 「花組」主宰 <2005/02/04>
あざ蓉子氏(昭和22年熊本生)現代俳句協会第平成14年度受賞
「花組」主宰、「豈(あに)」「船団」
句集『夢数へ』『ミロの鳥』『猿樂』
母のこゑ足して七草揃ひけり
梅林やこの世にすこし声を出す
雛の日の雛人形に骨のあり
はくれんの吐く白昼の男かな
骨の音からんと春のなかにゐる
針のとぶレコード川のあざみかな
あおぞらの蝶は木の股記憶して
てふてふや絵本に影のみつからぬ
おぼろ夜や旅先ではく男下駄
上京や春は傷みしミルク膜
桃さくら股間にあそぶ煙かな
人間へ塩振るあそび桃の花
樟若葉父は厠へ行つたきり
落球と藤の長さを思いけり
首すぢにほつと蛍の生まれけり
さらさらと昼顔をゆく獣たち
炎天へ蝙蝠傘を挿入す
空が遠くて高音のかたつむり
傘さしてやや屋根裏となるキューリ
黒揚羽水の匂ひの法隆寺
神々の神のふどしの滝ならむ
蛇と赤子の歩く天気かな
罌粟の花どこかで釘の錆ぶる音
残されしものに首振る扇風機
夕焼は全裸となりし鉄路かな
女あり夾竹桃を見ておりぬ
星祭死者のこゑ売るレコード店
秋彼岸足音ばかり空ばかり
とどまれば我も素足の曼珠沙華
にわとりも昼の真下で紅葉す
十二月金魚はすこし男かな
生き物の肌やわらかし冬の川
外套のポケットにある海の音
にんじんや右も左も固き椅子
枇杷の花水には水の水死体
珈琲をすこし残して森に入る
鶴を折る千羽超えても鶴を折る
こんにやくの刺身を食べて別れけり
桃缶のうすきにごりのなかにゐる
にわとりへ白黒映画の手が伸びる
天上に茗荷のふゆることのあり
| 固定リンク | 0
最近のコメント