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2006年2月 3日 (金)

★草城忌 <2006/01/29>

 暖かくなるとの予報にもかゝわらず、室内は結構冷え込んでいます。正午現在9.3℃です。 しかし無風好天にて日射しを歩くと快適です。

 今日1月29日は草城忌。日野草城の1956(昭和31)年の忌日です。住まいは大阪・池田。
 モダンな作風で新興俳匂の一翼を担った俳人にて
 「ミヤコホテル」の連作で賛否両論が噴出した事は有名です。
 それもそのはずで、新婚の夜はかくもあろうかとでっちあげた想像句なのですから。

     けふよりの妻と来て泊つる宵の春
     夜半の春なほ処女なる妻と居りぬ
     枕辺の春の灯は妻が消しぬ
     をみなとはかゝるものかも春の闇
     麗かな朝の焼麺麭(トースト)はづかしく

なんて読んでるほうが恥ずかしくなってしまいます。

 しかし草城は大正7年三高入学時の若さで沈滞ぎみのホトトギスに彗星の如く現れ、従来の古風な客観写生に軽快で斬新な風を吹かせた才人でした。

     物の種にぎればいのちひしめける
     春暁やひとこそ知らぬ木々の雨
     春の蚊のひとたび過ぎし眉の上
     春の夜やレモンに触るる鼻の先

 現在に於いて詠まれている斬新と思われるような句柄の中にはとうの昔に草城が詠んでいたりするのです。
 ただ才気走った技巧で詠む句風には限界があったようで、以降 連作俳句や新興俳句で活躍したものゝあまり評価はされていないようです。
 終戦後の晩年病臥の身になってより地に足のついた境涯的な句風となり再評価される事になります。
 山本健吉は草城を「極端な早熟型の極端な晩成型」と評し、病気が彼にようやく句境の沈潜を与えたとすれば 何と云う長い才能の放浪時代を経てしまったのだろうと嘆じています。

     てのひらに載りし林檎の値を言はる
     夏蒲団ふわりとかかる骨の上
     朝顔やおもひを遂げしごとしぼむ
     咳やみて寒夜ふたたび沈みけり
     肌寒や貝にぎやかに蜆汁
     高熱の鶴青空にただよへり

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