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2006年3月の3件の記事

2006年3月24日 (金)

★ 終い彼岸

H170815-6

 暑さ寒さも彼岸までと昔から言われますが、ここ暫く風もありまだ寒い日が続いています。
 子規も
       毎年よ彼岸の入に寒いのは  正岡子規

 と詠んでいますから、彼岸を境に一気に暖かくなると云うわけでもなさそうです。
 しかし流石に日射しを浴びると春らしい暖かさを実感します。 昨日の午後 勾玉池に少しだけ立ち寄りましたが日溜りの桜が開花していました。 名所である宮川堤の桜は川風の為でしょうか、まだ蕾のままですが…。

 彼岸は中日とその前三日 後三日の七日間を言いますが、
 今日24日は彼岸の最後の日、いわゆる終い彼岸(彼岸ばらい)ですね。
 また18日の彼岸の入りの事を 「彼岸太郎・入り彼岸・さき彼岸・初手彼岸」等とも言いますが、
 『 彼岸太郎、八専二郎、土用三郎、寒四郎 』と言って、彼岸の第一日、八専の第二日、土用の第三日、寒の第四日がそれぞれ晴天だとその年は豊年であると言われているそうです。

 彼岸関係の季語も多いですが、上記の他で種々の歳時記に載っている季語を下記に挙げてみます。

     彼岸会、彼岸中日、万燈日、讃仏会、彼岸前、彼岸明け、彼岸過、
     彼岸参、彼岸詣、彼岸講、彼岸寺、彼岸鐘、彼岸道、彼岸姿、
     彼岸西風、彼岸波、彼岸潮、彼岸舟、
     彼岸団子、彼岸餅、彼岸桜(立彼岸、東彼岸、姥彼岸)、枝垂彼岸、彼岸河豚

 歳時記には載っていなくても、下記の例句のように適した語へ「彼岸○○」と彼岸を冠して季語とする詠み方もあります。

          跼み磨るマッチ匂へり彼岸墓地   岡本眸
          彼岸囃子児が飴のある口で泣き   樋口みよ子
          彼岸晴といふ好日に恵まれし     藤井巨水
          彼岸御堂四隅朽ちつつ微風吹く   百合山羽公
          森に入れば森の暗さに彼岸婆    加倉井秋を
          後継のなき坊舎守り彼岸冷え     柘植芳朗
          彼岸牡丹餅木曽義仲の墓前かな   下田 稔
          彼岸寒闘癌の記の未完稿       平井さち子
          僧代りあひつゝ彼岸法話かな      阿波野青畝
          鳥消えし空を見てゐる彼岸人      木附沢麦青
          つく~し彼岸坊主は渾名なり      寺田寅彦
 
 こうして例句を見てみると結構自由自在に多彩で面白いものがあります。
 また季語としての「彼岸」は春の彼岸のみを指しますがわざわざ春を冠した例句も幾つか見られます。

          月山の山ひだ深き春彼岸        有馬朗人
          朝の間の見えぬ雨なり春彼岸      安原楢子

 秋の彼岸の場合は「 秋の彼岸、秋彼岸、後の彼岸」等の季語を使わなければならないのはご存知の通りですね。

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2006年3月12日 (日)

★ お水取り

 関西地方では寒さも「お水取り」迄と言いますが、いよいよ3月12日の今夜がお水取りですね。本格的な春の到来ですが、今夜は少し冷えます。
 
 奈良東大寺二月堂のお水取りは3月1日より2週間に亘って行われる修二会の締め括りの行事である訳ですが、テレビでしか観た事がなく一度はあの大松明の火の粉を浴びてみたいものです。
 天平勝宝4年(752)が始まりにて今年で1255回目だそうですが、元は旧暦の2月1日から行われていましたので、二月に修する法会という意味をこめて「修二会」と呼ばれるようになったとの事です。
 二月堂の名もこのことに由来している等と東大寺のHPに載っていました。

      お水取見て来し睡き人とをり  後藤夜半

 流石に関西人である後藤夜半らしく深夜の行事を表現していますね。
 お水取りは「お松明」とも呼ばれますが、俳句の季語としての「お松明」「松明」は京都 嵯峨清涼寺の火祭りの柱松明を指しますから要注意です。

      水取やテレビ画面に火の粉溢れ

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2006年3月 6日 (月)

★ 啓蟄

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 薄曇りにて少し肌寒い感じはしますが、無風ですので火が恋しいと云う程ではありません。

 今日は「啓蟄」ですね。
 春季の二十四節気は立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨と続きますが、「雨水」の15日後に当たります。
 「啓蟄」の語は月令に言う
   
    『仲春の月、蟄虫咸動き、戸を啓き始めて出づ』    〔咸(みな)、啓き(ひらき)〕

からきていて、 ひらく巣ごもりと云う意味です。 ユーモラスで俳意が感じられるので実に俳人好みの節気です。
 実際に虫や蛇等が穴から出てくるのはもう少し先のようですが…。
 啓蟄は柳の若芽が芽吹き蕗の薹の花が咲く頃と言ったところでしょうか。

 傍題季語も
 「驚蟄(けいちつ)」「蛇穴を出づ」「蜥蜴穴を出づ」「地虫穴を出づ」「蟻穴を出づ」「蟄雷」「虫出しの雷」等があり多彩です。
 季語として俳句によく詠まれるようになったのは近代俳句、主として虚子以降の事のようです。

       啓蟄の蟻が早引く地虫かな    高浜虚子
       
       啓蟄の蟻大いなり独りなり     岡本 眸     

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