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2006年12月 1日 (金)

★ 三橋敏雄忌

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 好天ですが風の強い日です。 昼過ぎの室温計は13.5℃。 
 空も裏山も心なしか薄々と寒さを感じる雰囲気です。


 今日は俳人 三橋敏雄の忌日です。 平成13(2001)年、81歳にて没。
 東京都生まれ。 運輸省公務員。 山口誓子、西東三鬼に師事。 「断崖」 「天狼」 「面」 「俳句評論」 同人。
 句集に『畳の上』 『まぼろしの鱶』 『真神』 『青の中』 『弾道』 『鷓鴣』 『巡礼』 『太古』 『長寿』 『しだらでん』 『三橋敏雄全句集』。
 

 14歳で俳句を始め戦時中の新興俳句俳人として17歳の頃には既に頭角を現していた俳人でした。 
 当時は無季の句が主にて師の山口誓子が 「私は無季の句を詠むつもりはないが、もし詠むとすればこう云った方向性で詠むかもしれない」 と云う意味の事を言って絶賛した事は有名です。
 昭和13年に 「戦争」 と題して発表した連作を指しての事にて、三橋敏雄18歳の頃の作品ですから恐るべき早熟さです。 数句を抜粋してみます。

     
          射ち来たる弾道見えずとも低し
          砲撃てり見えざるものを木々を撃つ
          そらを撃ち野砲砲身あとずさる
          戦車ゆきがりがりと地を掻きすすむ
          あを海へ煉瓦の壁が撃ち抜かれ

      
 昭和23年から7年間句作を中断するも、昭和30年 「俳句」 誌上に<熱帯戦跡行>四十句を発表して作句を再開しますが、以降は有季の句が主になりました。
 昭和42年に第十四回現代俳句協会賞、平成元年に第二十三回蛇笏賞を受賞しています。

 以下代表句抄です。

          戦争と畳の上の団扇かな
          あやまちはくりかへします秋の暮
          いつせいに柱の燃ゆる都かな
          かもめ来よ天金の書をひらくたび
          ぶらんこを昔下り立ち冬の園

              太陽のあがれる春を惜しみけり
              海へ去る水はるかなり金魚玉
              長濤を以って音なし夏の海
              京しぐれ前の世のはるか後の世も
              打水や落つる日落つるところあり 
                  
                   鬼赤く戦争はまだつづくなり
                   秋の暮柱時計の内部まで
                   観桜や昭和生れの老人と
                   定時制教室さくら片明り
                   表札は三橋敏雄留守の梅
                   飯白し八月十五日正午

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