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2008年10月の3件の記事

2008年10月30日 (木)

★ 尾崎紅葉忌 (十千萬堂忌)

 好天で始まった今日ですが、午後になって曇天となりました。 室温計は午後4時前にて21℃。

 今日 10月30日は小説家 尾崎紅葉の忌日です。
 1903(明治36)年 胃癌の為 36歳で死去。 思っていたよりも早世だったので驚きました。

       難題を課してたのしむ紅葉忌  山口青邨
       紅葉忌舞台の裏に修しけり   石川春象


 尾崎紅葉は 「多情多恨」 「金色夜叉」 などで有名な明治の文豪ですが、熱心な俳人でもありました。
 以下 角川俳句大歳時記の紅葉忌(坪内捻典氏記)を参考にしつゝ略歴を記してみます。

 『慶応3(1867)年 江戸生まれ。 帝国大学中退。
 大学予備門の学生時代に山田美妙らと文学結社 硯友社を興し、機関誌『我楽多文庫』を発行。 
 明治22年(1889) 「二人比丘尼色懺悔」が出世作となり、同年 読売新聞社に入社。
 明治23(1890)年に硯友社の巌谷小波などと俳句結社「紫吟社」を結ぶ。 
 明治28年には角田竹冷らと「秋声会」を結成、正岡子規たちに対抗する新派俳壇のリーダーとして活躍。』

 俳号は十千萬堂。 紅葉忌は十千萬堂忌とも呼ばれます。 

 辞世の句は

       死なば秋露の干ぬ間ぞおもしろき 

   ____________________________________________________________________________________________

   <尾崎紅葉 俳句抄>
       
       昼中の盃取りぬあらひ鯉
       雨の庭萩起し行く女かな
       ちく~と潮満ち来るや芦の角
       春の日の巡礼蝶に似たるかな
       雨来らんとして頻りに揚る花火哉
       鶏の静に除夜を寝たりけり
       人訪へば梅干して居る内儀哉
       水飯や簾捲いたる日の夕
       蚊帳の月美人の膝を閑却す
       雨を帯びて麗はしの粽到来す

       鬼燈も紅葉しにけり緋金巾
       切符買うて手毎にかざせ初紅葉
       垣結ふや竹の落葉を払ひつゝ
       鮎看るべく流聴くべく渓の石
       口あいて佐渡が見ゆると涼みけり
       夏衣碓氷の雨の灑ぐかな
       我背子が来べき宵なり玉子酒
       年玉やものものしくも紙二帖
       襤褸市は曇りて雨の甲斐秩父
       鍋焼の火をとろくして語るかな

       茜掘夕日の岡を帰りけり
       近道や茨白うしてうす暗き
       泣いて行くウエルテルに逢ふ朧哉
       猿曳の猿を抱いたる日暮かな
       小机に載せてこそあれ初暦
       歯固や鼠は何を食む今宵
       初空やその薄色の三枚着
       露霜や蓬生の宿に人病めり
       混沌として元日の暮れにけり
       北向やこんこん叩く厚氷
       
       花嫁の手を憐むや茎菜漬
       月に棹して生簀の鱸見て帰る
       秋深き燈も憂きに細るげな
       深山木や斧に湿ふ秋の雲
       鶺鴒の尾を振りきそふ早瀬哉
       茹菱の切先出たり紙袋
       優しさよ梨なんど剥く手元さへ
       秋もはやさらばさらばと落し水
       枝少し鳴らして二百十日かな
       鳴き交ふや買ふて来た虫籠の虫

       蕈に深山のおどろおどろしきを思ふ
       星既に秋の眼をひらきけり
       枝豆を人待顔にたぶるかな
       ごぼごぼと薬飲みけりけさの秋
       気壮んに行く秋などの何ともな
       ばさばさと刈られ終んぬ花薄
       芋虫の雨を聴き居る葉裏哉
       自転車の汗打かをる公子かな
       揉瓜や四十男の酒を妻
       市に見る今朝の胡瓜や小指ほど

       散る傍に牡丹の魂の迷ふかな
       炎天や誰が子はだしの放し飼
       暮かぬる門や嫁入のざんざめく
       星くひにあがるきほひや夕雲雀
       秋を出て夕暮通る舟一つ
       十三夜酒なき宿をたゝきけり
       夕雲雀天を貫く穴や星
       雲に濤にさそ歌あらむ秋の人
       笛の音や誰とも知らす秋の人
       赤きもの食ひ~行きぬ秋の人
       俳諧の骨拾はうよ枯尾花

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2008年10月26日 (日)

★ 高浜年尾忌

 今日はしょぼしょぼとした雨の一日となりました。
 昨日より更に冷え込んで、夕暮れの今 室温計は18.8℃を指しています。 この秋で一番低い気温かも知れません。

 今日10月26日は俳人 高浜年尾の忌日です。 1979(昭和54)年没。 
 享年78歳。 高浜虚子の長男。 また星野立子の兄です。

    大切な看護日誌や年尾の忌   坊城 中子
    年尾忌の十月桜咲きそめて    山口青邨
    月欠ける早さよ年尾忌も過ぎて 山田弘子


 年尾は本名にて正岡子規が名付け親だそうです。
 学生時代から俳句に親しみ、昭和13年に俳誌「俳諧」を主宰創刊。
 芦屋市に住み関西俳句界の中心的存在でした
 また昭和26年以降は「ホトトギス」の雑詠選者となり、 虚子より主宰を引き継ぎます。虚子の没する8年前の事でした。


    < 高浜年尾 俳句抄 >
 
    なつかしき父の故郷月もよし 
    六甲の端山に遊び春隣
    山門をつき抜けてゐる冬日かな    
    竜安寺池半分の菱紅葉
    咲き充ちてアカシヤの花汚れたり
    又花の雨の虚子忌となりしかな
    旅に出て春眠足りし思ひかな
    妹がりの初句会とて五六人
    師走はや心斎橋の人通り   
    青き踏む毛馬閘門のほとりまで

    安国寺様の傘借り花の雨
    紅葉冷えして下呂の湯は熱からず
    皆去りぬ焚火育ててゐるうちに
    遠き家の氷柱落ちたる光かな
    凍江や渡らんとして人遅々と
    カーテンの動いてゐるは隙間風
    渤海の凍てし渚の忘れ汐
    咲きそめて一輪久し冬椿
    わが旅の紅葉いよ~濃かりけり
    花びらの日裏日表紅蜀葵

    立ち上る一人に揺れて船料理
    鰭酒や逢へば昔の物語
    菊枕かくて老いゆく人の幸
    九頭竜に辣韮洗ひの屑流れ
    桑海や大夕立あとなほけぶる
    雛の間の更けて淋しき畳かな
    八荒の波の昃りのうつりゆく
    お遍路の美しければあはれなり
    朝の間の 初凪とこそ 思はるる
    時代祭 華か毛槍 投ぐるとき

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  ※ 星野立子については一昨年に取り上げました。 
    宜しければ下記タイトルをクリックの上 ご参照下さい。
            ↓
      「立子忌 (雛忌)」
                         .

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2008年10月21日 (火)

★ 志賀直哉忌

 爽やかな秋晴れです。
 今年は例年なく冷え込む秋と思っていたら、10月も半ばを過ぎてから暖かい好天が続きます。

 今日10月21日は志賀直哉の1971(昭和46)年の忌日です。
 昔 神戸在住の折 商用で毎月のように城之崎温泉に宿泊していた縁もあって、「城の崎にて」の作者である志賀直哉には親近感を覚えます。

   漆黒の列車は北へ直哉の忌     櫂未知子
   孤をふかみゆく鹿のこゑ直哉の忌  橋本榮治
   塔頭に咲く直哉忌のほととぎす    大島民郎
   テラスから夜の始まる直哉の忌   矢内涼人
   奈良山も粧ひそめし直哉の忌     足立行子

   

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