吟行会記

2006年1月26日 (木)

★伊勢志摩吟行会記 ① <2005/06/16>  

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 この一四,一五日の伊勢志摩吟行会を少し記してみる。
 当地の代表的な観光地を避けてのコースであるので、伊勢志摩をご訪問の折の参考になればと思う。
 
 毎年恒例であるが東海支部の常連メンバーを伊勢志摩にご招待して吟行会を催した。今年の参加者は五人と少人数になった。
 「吟行の五人佳き数牡丹の芽」と以前詠んだ事がある。参加者にとっては却って気楽で楽しい吟行会となり、少し窮屈ではあるが私の車一台で廻る事にした。
 ただ回を重ねて伊勢志摩のメインは皆訪問済みである。四回目の今年は場所を選ぶのに苦労した。

 まず宮内庁御用達の割烹「大喜」で食事をして頂いてから、外宮神苑「勾玉池」へ。
 例年であれば花菖蒲も終わりに近く皆さんを落胆させるだけなのだが、今年はやっと満開の様をご覧頂く事が出来た。
 毎年の伊勢志摩での会であるが私の作句工房「勾玉池」だけは強制的に一番最初にお連れする事にしている。

     花菖蒲先ずは池畔を一巡り  暢一

 次は内宮を素通りして鳥羽磯部に通じる伊勢道路沿いの「天の岩戸」へ。
 山中の小川沿いの小径を辿ると日本百選の一つである名水がこんこんと湧き出る水窟に着く。水垢離の為の滝もあり修行の場でもある。

   垢離の滝飛沫を少し浴びてみる  暢一

 そして「相差(おおさつ)」のホテル「一井」へ向かう。
 志摩の海に向かって南下するとほぼ三十分で着くのであるが、途中に御田祭を十日後に控えて準備の整った磯部の伊勢神宮別宮である「伊雑の宮」により、リアス式の海沿いの景を楽しんで頂く為に相差へは遠回りしつつ、観光スカイラインのパールロードを走る。 
 相差の民宿・旅館は関西・中部でも伊勢海老、鮑、刺身料理を船盛りで廉価に食べさせてくれる事で名を知られている。


 因みに予約したのは「専務お奨めコース \10,500也」。勿論宿泊費込にて堪能出来る料理であった。
 太平洋を眼前に建つホテルは水平線から昇る朝日が売りであるが雨の朝となってしまった。

   果てしなきもの海原の梅雨の色  暢一

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★伊勢志摩吟行会記 ② <2005/06/16>

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 二日目は雨との予報であったので急遽予定を変更して建築物の中の観光を主としてみたが、やはり雨の一日となる。
 パールロードを鳥羽に向かう途中の「海の博物館」へ。
 広大な丘陵に五棟が建つ大規模な物にて古墳公園もある。
 雨の為に初めて訪れる事になったが想像以上の素晴らしさである。
 日本デザイン賞、文部大臣美術部門新人賞、日本建築学界賞、全国公共建築百選と仰々しく掲示されていた。
 また裏手から牡蠣筏の浮く入江に出る事も出来、漁港に牡蛎の作業場も点在していた。的矢牡蛎、浦村牡蛎と言って全国的に知る人ぞ知る高級牡蛎である。

     老鶯や志摩の入江の牡蛎筏  暢一

 茶屋で地元漁民手作りの心太を頂いた後、海沿いに走り鳥羽を通り超えて二見の「菖蒲ろまんの森」へ着く。
 ここの花菖蒲はまだ暫しであったが、錦鯉の小川沿いに多種の紫陽花も咲き、八橋が延々と伸びて四阿のある広大な菖蒲園の雰囲気は悪くはない。

     紫陽花に雨降る旅となりにけり  暢一
 
 
 伊勢に戻り、江戸時代に船による参宮客の玄関であった河港跡にある二軒茶屋にて、当時からの名物「二軒茶屋餅」を頂いた後、昔河岸に栄えた伊勢商人街河崎町にある店舗・蔵・屋敷内を見学。これも豪商振りが偲ばれて中々興味深いものであった。

     紫陽花や伊勢商人の参の蔵  暢一

 最後に伊勢町中の鰻屋「伊勢丸」で食事。
 2階の座敷を借りる事が出来たので、食事後に急遽句会が始まった。三十分の猶予時間で五句。全員が心底俳句が好きなのである。

     鰻屋の二階思はぬ句座となり  暢一

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