≪フォト俳句(225)≫5/15④牡丹寺(朝田寺・松阪市)

朝田寺の第4回目である。
第3回の前回記事にて仏像を興味深く拝観した後、大小の絵馬の掛かる廊下より畳敷きの仏間に入った。
絵馬も相当古い物のようだ。
但し私としては何処の寺院を訪れても必ずと言ってよい程お堂等に落剥しかけた絵馬を見る事が出来るから、然程に珍しいとは思わなかった。

右画像を拡大して頂くと分かるが、左端に「重要文化財指定書」が額に納められていて、こちらの方が私には珍しかった。
『 彫事三八〇号
重要文化財指定書
木造地蔵菩薩立像…一躯
:
右を重要文化財に指定する 』 と書いてある。

手前の小部屋にもやはり仏壇が安置されていた。
何か日常的な雰囲気を持っていて親しみを感じる。
合掌をしてから次の部屋へと移動した。

その部屋には曼荼羅図のような仏教絵が2枚 部屋の両壁面一杯に掛けられていた。
通称「甘露帳」と呼ぶらしい。
正式には「盂蘭盆経説相図」。 韓国特有の仏画にて、物を備えて仏や死者・霊魂を供養する際に用いる儀式用仏画と説明書が添えられている。 右側の鮮やかな色をしている図は模写である。

こう云った甘露帳が成立した時代は不明らしいが、現存する最も古い甘露帳は16世紀末の物にて2点ある。
2点共に日本で所有されている。
1点(1589年作)は神戸市の薬仙寺に、もう1点(1591年作)がこの朝田寺の甘露帳だそうな。
他にソウル国立中央博物館に17世紀の作が1点存在するが、現存する甘露帳の大部分は18世紀の作にて、それも20点程に過ぎないらしい。
模写については箱書きに「天保六年」(1835)とある。
以上のような説明書を読んで随分と貴重な仏画だなと改めてしげしげと見直した。

次の間に入る。 一対の戸板に描かれた画が2点展示されていた。 昔に当寺の客殿で使用されていた杉戸である。 この画は「獏図」。 獏は「悪夢を食べて良い夢を見させてくれる」と仏教説話に登場する奇獣だ。
「弾正宗暉入道蛇足軒十世曽我暉雄」と落款がある。

これは「鳳凰図」。
「獏図」と共に国指定重要文化財にて貴重なものだ。
西日のよく当たっていた右側の方の褪色が激しく、実際に使用されていた往時が偲ばれる。
裏面には野兎と萩が墨筆されているらしい。

右画像の阿吽一対の「獅子図」も朝田寺屈指の収蔵仏画だ。
江戸時代の「蕭白」34歳頃の作にて、3、40分で書き上げた若者の気合溢れる名作と称されている。
対比をなすと言われる「雲龍図」はボストン美術館にある。
地蔵菩薩を安置する当本堂内々陣の左右の板壁にあった壁貼り付け画を軸装にしたものにて、「阿形の雄」が東壁に、「吽形の雌」が西壁に位置していたらしい。

最後のご紹介は屏風画。
「唐人物図」と云い これも「蕭白」の作品だ。市指定文化財。
老樹下の七人の高士と一人の童が書や音楽を楽しんでいる景を描いたものであるが、人物の表情や無駄な線の無い衣服の描き方など「蕭白」独特の画風がよく出ている作品と言われる。
また樹木の洞の中に何かが潜んでいる事も暗示していると言われているそうだ。
絵馬によき手綱曳かせて春の寺 原裕
興味の趣くまゝに仏像や仏画を観ている内に何時しか時間を費やしてしまった。
母に急かされてようやく牡丹苑の入り口に向ったが、記事が長くなってしまったので次回とする。
牡丹観る愉しみ前の仏間かな 暢一
<記事中の全画像拡大可>
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