« 伊勢平野  (句評)   | トップページ | 姥子の宿  (鑑賞)  »

2006.01.26

春の山  (句評)  

          春の山海見えるまで登らうよ   加藤暢一


 男性の作品が、女性より繊細で優しいというのはまま有る事だが、この作者もその一人である。 母上などとよく家族を詠まれている。
 掲句も光眩ゆい「海」への憧れは、母上への思いが深くあるのだ。


          冬林檎美味しと妹の癒ゆるなり   暢一
          母麗しカーテン替へて薔薇活けて
          伊勢平野押すな押すなと夏の雲


 リズムカルで楽しい、自分に近い所で作っているのは好ましい。
 吟行会で見せる写生句も仲々で、硬軟相まって器用なのかも知れない。 
                                        (小林希世子氏) 1996

« 伊勢平野  (句評)   | トップページ | 姥子の宿  (鑑賞)  »