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2006.01.26

寒鴉  (句評)  

          われ死んで泣くは誰々寒鴉    加藤暢一


 例えば、会葬者として見た景からの発想としてもよい。
 泣くことが、悼む深さであるとばかりは言い切れないが、掲句の「泣く」は本当に悲しんで泣くの意味。
 つまりこの世で自分を必要とし、大事だ、いとおしいと思ってくれる者が、死ぬときにいるかどうかという厳しい自問の句。
 鳴呼という胸中の声は、寒鴉の声と重なって淋しい。
 誰にも避けられない老いと死。読者の自問へと擦り替わる。  
                                         (植松安子氏) 1992

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