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2006.08.27

冬帽子  (句評)   

           北へ行く鞄の上の冬帽子  加藤暢一


 温暖の国に住む者なら誰しも寒冷の地に哀愁を覚える。
 それだけに言葉だけが先走ると、安価な歌謡曲の感傷に堕する。
 さすがに作者は、言葉の説明を排し全ての思いを鞄の上の冬帽子に託した。
 きちっと揃った両膝に乗る旅鞄。 その上に置かれた冬帽子。
 そこから浮かび上がる生真面目な人間像と状況は、冬帽子によって無理なく読みとれるのである。
                                         (見留貞夫氏) 1990

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