« 暮早し  (句評)   | トップページ | 大夕焼 (自句寸感) »

2008.06.06

冬燈  (自句寸感)

          母が寝てしまへば孤り冬燈  加藤暢一


 以前に私の作品は母をよく詠んでいる事が特長の一つであり、以外にも時に母への思いを深く感じさせる句がある、との主旨のご鑑賞をある方より頂いた事があります。
 それまでは意識の外でしたが、掲句からもお察し頂けるように、母と二人暮しの私が日記のように俳句を綴っていれば当然なのかも知れません。


          思ひ切り燗酒熱くして独り  暢一

 公私にわたって多忙な上、まずまず平穏な日常です。
 母との二人暮しを決して淋しく思っている訳ではありません。 母の就寝後、夜更けて独り酒を酌んでいると、ふと孤独を感じる時はありますが、それを楽しんでいる私がいたりする事もあるのは俳句のお蔭でしょうか。


          冬の海喪服を提げて旅にあり  暢一

 伯父(母の長兄)の葬儀の為、金沢に出掛けました。 日常に不自由の無い元気な母ですが、老齢の身には少し無理があり、私一人の旅となりました。

 俳句は日記。 眸先生のお教えを座右の銘とさせて頂いてきたお蔭で、どの句にも思い出が詰まっています。

                          (「朝」寒露集二【巻頭作品に寄せて】 加藤暢一)2008

« 暮早し  (句評)   | トップページ | 大夕焼 (自句寸感) »