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2009.08.04

芽吹山  (自句寸感)

          大寒の街透きとほる月明り   加藤暢一
          伊勢道の一歩一歩に春来る     暢一

 立春と言っても実際は大寒と変わらぬ寒さです。 それどころか最も厳寒の時期かもしれません。 しかし今日は立春と思う目で自然を見ると、そこここの草木に春の兆しを窺うことが出来て嬉しくなります。

 学生時代の大阪・京都、そして神戸と二十年近く在住のあと、家業を継ぐ為に伊勢に帰郷した私は、それだけに郷土への思い入れが強いのでしょうか。 伊勢という郷土色の強い句を愛着をもって多く詠んできたようです。


          神鶏の人に親しき花馬酔木  暢一

 伊勢神宮外宮での景。 伊勢神宮は観光客にお馴染みの内宮と、伊勢市街中心部に位置する外宮とからなります。
 外宮までは我が家から徒歩十五分ほど、神苑に勾玉を模った池も広がり早朝散歩のお気に入りのコースです。


          明るさに匂ひありけり芽吹山  暢一

 伊勢神宮外宮の神領区に隣接する雑木山。 
 麓には母校が建ち、山中に遺跡も見られ趣のある散策の場です。

 伊勢神宮も雑木山も多くの句を恵んでくれました。 郷土に感謝です。

                          (「朝」寒露集二【巻頭作品に寄せて】 加藤暢一)2009

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